企業名の戦略的考え方とは【起業家の窓・第3回】
さて、今回の「起業家の窓・第3回」では会社名について考えてみましょう。
会社の名前はロゴマークと同じく、顔となり、イメージをつくる重要なものですね。
世界的に有名な企業の例を参考に会社名を決定する際の注意点をお伝えします。
1.会社名には、会社の種類を入れなければならない
日本では会社名を決める際、会社の種類を入れなければなりません。
株式会社であるならば、「前株(まえかぶ)」や「後株(あとかぶ)」という表記になります。どちらに配置するかは自由です。
現行の会社法では、株式会社や合同会社を英語表記の「Co.,Ltd」や「LLC」などで登記することはできませんが、定款には英語表記での記載が可能です。
注意したいのは、同一あるいは類似した会社名の場合、不正競争防止法により損害賠償を求められるケースがあります。
類似の会社名(商号)が存在しないかで調べておくと安心です。
2.文字や符号は使用できるものが決まっている
会社名(商号)として使用できる文字や符号は下記に限られています。
また、符号の使用は字句を区切る際に限り、商号の先頭あるいは末尾に使用することは原則出来ません。
「文字」
- 漢字
- ひらがな
- カタカナ
- ローマ字(大文字・小文字)
- アラビア数字(0,1,2,3,4,5……)
「符号」
- &(アンパサンド)
- ‘(アポストロフィ)
- ,(コンマ)
- -(ハイフン)
- .(ピリオド)
- ・(中点)
3.外国語での意味や発音も念頭にいれる
設立前に進出したい国が決まっているならば、スラングや発音なども含めて、現地の言葉でマイナスイメージになっていないか事前に確認しておくことが重要です。
アメリカ発の大手通販ポータルサイトであるAmazon(アマゾン)は、当初の「Cadabra.com」という名前が英語で死体を意味するCadaverと音が似いるためAmazon変更された話は有名です。
◾️アップル・インコーポレーテッド(Apple Inc.)
創業者のスティーブ・ジョブズ氏がインドで修行中、果物の摂取が禁じられていたため、その経験から果物に対する興味を抱くようになりました。
創業当初は「アップル・コンピュータ」の名前でした。ジョブズ氏が「アップル」にこだわった理由は単に果物に対する愛着だけでなく、アルファベット順で登録しやすいこと、そしてシンプルで覚えやすい名前がマーケティング的に有利だと考えたからです。
結果的に、アップルはコンピュータ産業において世界的な巨大企業となり、そのブランド名は革新と洗練を象徴するものとなりました。
◾️ユニクロ株式会社(Uniqlo)
ユニクロはもともと「ユニクローズ」(Unique Clothing)というブランド名でスタートしました。
創業者の柳井正氏は、一般的でなく、オリジナルでユニークなファッションを提供することを企業のコンセプトとしました。
ブランド名を略して「ユニクロ」に変更する際、英語の発音やスペルが親しみやすく、国際的にも浸透しやすいと考えました。
このユニークで独自性のあるアプローチが、ユニクロが世界的なファッションブランドとして成功する一因となりました。
◾️ハーゲンダッツ(Häagen-Dazs)
ハーゲンダッツは、アメリカ合衆国で創業されたアイスクリームブランドですが、その名前はデンマークやスウェーデンのような北欧のイメージを連想させます。
実際には北欧の言葉ではなく、造語だそうです。創業者はデンマークの伝統的な製法に敬意を表すため、北欧風の名前を選びました。
これにより、ハーゲンダッツは高級感や品質のイメージを持つこととなり、世界中で愛されるアイスクリームブランドとして成功しました。
会社名は決めた後に変更することも可能です。しかし、大変な手間を要するため、決める際は、守るべき基本ルールや気をつけるポイントを踏まえ、理念や事業を何処に展開していきたいのかなど検討し決定すると良いでしょう。
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