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【三井不動産ビルマネジメント株式会社】移転後にオフィスツアー開始!他社との交流を生む場に

 三井不動産ビルマネジメント株式会社は、2020年の移転を契機にテナントファシリティ担当者向けの見学会「オフィスツアー」を開始した。目的や開始に至る経緯、現在のオフィスについて、営業推進部営業推進グループ主査の井岡悟さん、同グループの稲葉なつみさん、受託事業推進本部受託営業部リーシンググループ主査の佐々木光富さんに話を聞いた。

移転に伴いオフィスツアーを開始。年間の来社数は約150社

 同社は2020年6月、本社を東京都中央区東銀座の銀座6丁目-SQUAREから、同区日本橋室町の三井二号館に移転。地上11階からなる建物内の5.5フロア分を借り、現在、685人が働いている。

 この移転に併せて同社では、社外向けの取り組みとして「オフィスツアー」を立ち上げた。オフィスツアーは、オフィスづくりで悩みを持つテナントファシリティ担当者に来社してもらい、フリーアドレスやABW、家具・什器の配置方法など、これまでのオフィスビル運営管理事業で蓄積してきたノウハウを披露し、各企業が抱える働き方の課題解決につなげる社外向けツアーだ。

 主に、オフィス関係のアドバイスを行う営業推進部営業推進グループが中心となり運営している。

 オフィスツアー開始の経緯について井岡さんは「ファシリティ担当者が相談するための間口を広げ、当社と交流できる場を増やしたかった。出社せずに働けるようになった昨今、オフィスの価値が問われている。当社のワークスタイルを見てもらうことで、オフィスはどうあるべきなのか、どういう場なのか。来社した人と共に再定義するための機会でもある」と話す。

 単にビジネスチャンスを掴むために行うのではなく、他社との交流に重きを置いたオフィスツアー。年間約150社がオフィスづくりのノウハウや情報収集のため見学に訪れる。

 来社企業が抱える悩みのひとつが、どのようにしてオフィスに人を戻すか。中には、出社率を上げるため内装を改修したものの「思い通りの運営ができない」と嘆く声も珍しくない。そうした課題に対して参考になるのが、部署ごとに異なるレイアウトやその運用だ。

 各部署が、自分たちにとって一番働きやすい環境にするために日々レイアウトや運用について検討している様子が垣間見える。製品が整然と並ぶショールームと違い、目の前で働いている従業員がいるため、オフィスづくりのイメージを掴みやすい。

 オフィスツアーのコンセプトは「見てわかる、来てわかる、ワークスタイル変革」。稲葉さんは「働く環境を改善したいと思っていても、具体的なイメージを持てていない人は多い。コンセプトにもあるように、時代に即した働き方が、見て、来て、わかるようになっている。理想の働き方を実現するためのお手伝いとして、今後も注力していく」と述べた。

島型対向のレイアウトを一新。ABWで交流を生む

 旧オフィスは、デスクを向かい合わせた部署ごとに島を形成するいわゆる島型対向式のレイアウト。対して新たなオフィスは、集中・リラックスフロア(6階)、コミュニケーションフロア(8階)、コラボレーションフロア(10階)といった様々な機能を持たせたフロアをオフィスフロア(7階、9階、11階)の間に挟み込み回遊を促し社員の交流を活性化させる仕掛けをした上でABWを意識した空間設計になっている。

 佐々木さんは「島型対向は、管理者の目が届く範囲に部下がいるため管理しやすい。新たなオフィスでは、そうした管理ができなくなるため、戸惑いや不安を示す従業員も少なくなかった。移転には計画してから約2年掛かったが、その間、対話や社員が変革を受け入れられるようにサポートするチェンジマネジメントプログラムを繰り返し実施することで、社員全体の理解を深めていくことができた」と振り返る。

 コミュニケーションフロアには、カフェやライブラリー、ロッカーなどを集約させることで偶発的な交流の活性化を狙った。

 ほかにも通路を広めに確保しているため、人の往来を気にすることなく立ち話ができるようにする等、通常であれば無駄に思えるスペースも、交流の場として活用されている。

 現在のオフィスについて従業員からは、効率的に業務をこなせるようになった、出社意欲が湧いたなどと好評だ。

 これからのオフィスづくりについて、井岡さんは「テレワークの副作用として、コミュニティの希薄化が起きていることが課題。オフィスでコミュニティを作るには、出社したくなる吸引力をもったオフィスが求められる」と述べた。

 稲葉さんは「経営トップの意向によりオフィスのあり方は変わる。リモートだからできること、出社しないとできないこと。それぞれをどう捉えるのか。出社する意味を考えた環境づくりが大事だ」と述べた。

 佐々木さんは「何のために移転やレイアウト変更を行うのか。目的意識を持つことが大事。一度立ち止まり、働き方の方向性を見つめ直す時代になっている。オフィスづくりのヒントを、来社して掴んで欲しい」と結んだ。

左から、井岡悟さん、稲葉なつみさん、佐々木光富さん


取材先:三井不動産ビルマネジメント株式会社(https://www.mfbm.co.jp/

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