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【株式会社イトーキ】多様化するオフィス空間。 企業ごと個性が生まれる時代に

 コロナ禍をきっかけに私たちの働く環境は変わりつつあります。テレワークの導入による出社率減特定の座席を持たないフリーアドレスの導入など。オフィス空間の多様化が進んでいる中、どのような働く環境が生まれているのか。

 OFFICE PLUS編集部は『明日の「働く」を、 デザインする。』をミッションステートメントに掲げ、時代に先駆けた新たなオフィス空間づくりを提案する株式会社イトーキ東京本社「ITOKI TOKYO XORK」を取材ました。

 近年のオフィスレイアウトやオフィス家具のトレンドがどのように変わってきているのか同社執行役員で営業本部ワークスタイルデザイン統括部長の岡田直之さんにお話を伺いました。

フリーアドレスやABWが進みオフィスに個性が生まれる

――貴社の事業概要についてお教えください。

 1890年の創業以来、オフィス家具、ICT・映像音響機器、建材内装設備など幅広く取り扱っています。また、オフィス環境整備のための調査やコンサルティングサービスなど「働く環境づくり」をトータルに支援しています。

――近年のオフィスレイアウトのトレンドについてお聞かせください。

 オフィスに対する考え方が多様化し、企業ごとに個性が出てきています。オフィスづくりといえば、社員人数分のデスクを置くことが普通でしたが、近年は、フリーアドレスやABW※を前提としたオフィスづくりに取り組む企業が増えてきているようです。

※ABW:Activity Based Workingの略。自律的に業務内容や気分に合わせて、時間と場所を自由に選択する働き方。自宅やカフェ、サテライトオフィスが仕事場。オフィスも含まれる。

フリーアドレス用のデスク

イトーキ本社内のレイアウト例①

イトーキ本社内のレイアウト例②

 オフィス家具の導入を最小限に抑えることにより、余分なスペースが生まれ、オフィスレイアウトの自由度も高まります。さまざまなデザインの家具のほか、絵画やオブジェなどといったアートも配置することができます。

アート作品を会議室に配置

アーティストの山本努氏が手掛けた「cosmic net(コスミックネット)」。 フロア壁面に展示されている。

内装デザインに注力する企業が増加。環境への配慮も当たり前に

――近年のオフィス家具のトレンドについて教えてください。

 生産性向上が重視される昨今、オフィスを快適にし、社員のモチベーションやストレス軽減を図るためインテリアや内装デザインに注力する企業が増えてきています。家具もスチール製ではなく、製家具の採用や中間色を落とし込んだ空間にするなど様々です。

室名サインもデザイン性のあるものに

 近年は、環境対応も欠かせなくなっています。 SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・企業統治を考慮した事業活動)といった言葉が出ないオフィスづくりはほとんどありません。脱炭素のために緑を取り入れる、地域の木材を使用する、再生素材で製作された家具を導入するなどです。

 Web会議が当たり前になった影響か、デジタル技術が組み込まれた家具も市場に投入されてきています。当社にも取り扱いがありますが、カメラや指向性スピーカーが取り付けられたテーブルです。

オフィス内に植物を配置するのも今や当たり前に

メーカーとしてだけでなく“働き方”のコンサルタント企業として

――今後の展望について、御社の取り組みを交えてお教えください。

 当社は2018年に首都圏のオフィスを集約し、新たに東京日本橋に新社屋を構えました。「ITOKI TOKYO XORK(イトーキ トーキョー ゾーク)」と名付け、ワークスタイルデザインのラボと位置付けています。ゾークでは新たなレイアウトや新製品を実験的に展開しています。社員自身が新しい働き方や新製品を体験し、自らの言葉でお客さまに新しい働き方を提案してもらうことが狙いです。

 「実際に新 しい働き方を見たい」「オフィス移転を考えているがイメージを明確にしたい」という要望が増え、現在、 ITOKI TOKYO XORKには、1日に約150名、1カ 月で約3000名が来館しています。

 オフィス家具メーカーとしてだけではなく、働き方をコンサルティングする会社として、今後も時代に即したオフィス空間づくりに挑戦し、新しい働き方をデザインしていきたいと考えています。

岡田直之さん


取材先:株式会社イトーキ(https://www.itoki.jp/

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