契約書の取り交わしについて【起業家の窓・第4回】
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さて、今回の「起業家の窓・第4回」では契約書について考えてみましょう。
起業家にとって、さけては通れないのが契約書です。皆さんは既に多くの契約を交わしているでしょう。契約相手方が提示してきた契約書は一般的に、相手方が有利な要件になっていることが多いのですが、中でもその内容や条件が「一方的である場合」や、「意図的に曖昧さが含まれている場合」は注意が必要です。その場合には必ず契約を結ぶ前に、修正や加筆を求め公平な契約内容にすることが重要です。以下に、注意するべき契約書の例を示します。
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目次
1.契約書とは
そもそも、「契約書」とは何か?を考えてみましょう。
契約とは、法的な拘束力を持った相手との約束のことをいいます。つまり、相手が契約を守らない場合は裁判所を通じて強制することが出来ます。
【契約書には主に以下の4つの役割がある】
①どのような商品、サービスの提供に対してどのような対価を支払うのかを契約の当事者が相互に確認するもの
②法律上のルールを当事者にあわせて修正するもの
③契約当事者間で紛争が生じた際の解決の基準とするもの
④訴訟となった場合に裁判所に提出する重要な証拠
契約書を締結する際には、主にこれらの点を意識することがとても重要です。
万が一紛争になったとしても、金額が低いなど、リスクの低い契約であれば、契約書の締結に時間やコストをかけるのは得策ではありません。簡単な物の売買であれば、発注書、請求書レベルの書類のやりとりでも構わないことが多いでしょう。他方で、重要な事業の取引や、紛争となった場合のリスクが大きい取引などについては、相応の時間とコストをかけて契約書を締結すべきです。
【契約書作成のポイント】
契約書はトラブルの防止や契約の証拠として作成する必要があります。口約束でも契約は成立しますが「契約した覚えはない」などトラブルになりかねないからです。
- 当事者を明確にする
- 取り決め内容を明確にする
- 紛争の防止と、生じた場合の証拠とする
この、3つ点に注意し契約を作成することがポイントです。
【契約書が必要な特別なケース】
保証契約にいては、民法第446条第2項で「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」と定められているため契約書の作成には注意が必要です。
【契約書記載事項】
契約書の記載事項は原則当事者の自由ですが当事者の権利・義務のほか、履行の条件や契約違反の措置を記載するのが一般的です。その他の記載事項は下記です。
- 題名
- 契約条項
- 日付
- 当事者
【条文配列のコツ】
- 契約内容の法律上の意味を把握しましょう。
- 取引の流れに従って条文の配列を考えましょう。
- 重要な条文は先に、付随的な条文は後にしましょう。
- 似たような条文は一つにまとめましょう。
- 条文の整合性をとりましょう。
2.注意すべき契約書とは
【注意すべき項目】
- 不当な取引条件: 契約書には、一方の当事者が極端に不利な条件を押し付けることがあります。たとえば、サービス提供側が無条件に料金を大幅に引き上げることを認める条項があったり、製品の品質や保証に関する責任を一方的に免除する条項が含まれている場合があります。
- 罰則の不合理な厳格性: 契約書には、一方の当事者が契約違反時に支払う罰金や損害賠償金の額が極端に高額である場合があります。これにより、一方の当事者が業務を継続することが困難になり、不当な圧力がかかる可能性があります。
- 不当な契約解除権: 契約書には、一方の当事者が任意で契約を解除する権利を有する場合があります。しかし、この権利が不合理な条件や通知期間の不合理な短さで定められている場合、もう一方の当事者にとって不利な状況が生じる可能性があります。
- 不正確な表現や誤解を招く言葉の使用: 契約書には、故意に曖昧な表現が含まれることがあります。これにより、当事者が契約内容を正確に理解できず、意図せずに不利な条件に同意する可能性があります。
- 法的責任の免除: 契約書には、一方の当事者が自身の法的責任を免除する条項が含まれる場合があります。これにより、もう一方の当事者が損害を受けた場合でも、補償を受ける権利が制限される可能性があります。
- 不当な契約更新: 契約書には、自動更新条項が含まれる場合があります。これにより、契約の更新を望まない一方の当事者が意図せずに新たな契約期間に拘束される可能性があります。
これらの要素が組み合わされた注意すべき契約書は、一方の当事者にとって不利な状況を生み出し、公正さや透明性が欠如した契約関係を形成する可能性があります。契約書の内容は法律用語や独特な言い回しが多く、慣れていないと難解です。したがって、契約書を交わす前に、細心の注意を払い、必要に応じて専門家の助言を求めることが重要です。創業時から余裕があれば専門家との顧問契約をおすすめします。
3.知っておきたい契約書のあれこれ
【契約書の表題と効力】
下記表題は全て契約書を指しますが、表題が違っていても契約書に記載してある内容が法的拘束力のある約束であれば、「契約の内容を照明する書面」となり表題により効力に差があるわけではありません。
- 契約書
- 協定書
- 覚書
- 合意書
- 確認書
【契約書に使われる用語】
契約書は用語一つで契約の解釈が変わることがあります。下記に気をつけるべき点と間違われやすい法律用語をまとめました。
1.曖昧な表現はできる限りさける | 重大な損害が生じる恐れがある時は」など、「重大な損害」は個人により異なるようは曖昧な表現は避け、損害内容をしっかり名言すると良い。 |
2.「場合」・「とき」・「時」 |
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3.善意・悪意 |
※日常用語と使い方が異なるため注意する。 |
【契約書の押印】
1.契印 |
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2.割印 |
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3.訂正印 |
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4.止め印 |
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5.消印 |
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6.捨印 |
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3.誠実で円満な取引のために契約書をつくる
原則的に、当事者の口約束でも契約は成立しますので、必ずしも、契約書を作成することが必須というわけではありません。
- 契約書がなくても今まで特に問題が起きなかった
- うちの業界は信用取引が当たり前
- 契約書の作成をすると、相手に不信感を抱いていると思われる
このような理由から、「そもそも契約書を作成していない」というケースもあります。
いざトラブルが起きたときに「こういう内容の契約だったんです」と声高に叫んでも、契約書が存在しなければ証明することができません。
しかし、事前に契約書が作成されていれば、その契約書に従って処理すればよいのですから、取引相手とのわだかまりが残ることはありません。
いざというときのリスクを最小限にするために契約書を作り、また、取引相手との友好的な関係を継続するために契約書は必要なのです。
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